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空夢の部屋

12月の天気ことわざ

平地へ雪の便りがいつ訪れるのか。クリスマスが雪景色となるのか。大晦日は穏やかに迎えられるのか。

このページのことわざは、「天気予知ことわざ辞典」大後美保著
からの出典です。
著者および東京堂出版より掲載許可を得ています。

ギャラリー

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朝トビ川越すな、夕トビ傘持つな

このことわざは、朝にトビが空をよく舞っている時には、やがて大雨が降るので洪水に注意したほうがよいですよ。一方、夕方にトビが舞う時には、天気がよくなるから傘はいりませんという意味です。トビが空を舞うのは、一つには舞いやすい気象状態になっているからで、もう一つには餌を求めるためでもあると考えられます。低気圧が近づいて来る時には、まず上層の風が強くなりますから、この風に乗ってトビが舞いやすくなるわけです。また低気圧が近づいて来る時には、その前面では南寄りの温湿度の高い風が吹き、トビの餌となる虫類などの活動も盛んとたるため、これを求めて飛び廻ることになるわけです。それぱかりかこうした時には天気の悪くなることを本能的に予知して餌を求めるようでもあります。一方夕方にトビが舞う時には、反対に晴れるといいます。これは夕方にトビが盛んに舞っている時は、快晴でなかなか暗くならず、そのような時には翌日雨の降らない確率が大きいからだといえます。

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山に三度雪が降れば、里にも雪降る

気候が寒くなり、地上の気温が2度以下に下がるようになると雨が雪となって降るようになります。北の地方や高い山で早く雪が降り始めるのは、それらの地方の気温が早く低くなるからです。山に雪降れば、といっても、高い山ほど山の上の気温が低いので、それだけ早く雪が降り始めます。逆に低い山ほど気温が高いのでそれだけおそく雪が降り始めることになります。したがっていちがいに山に三度雪が降れば里にも雪が降るというわげにはゆかないようです。また年により冬への向かい方が違い、急に厳しい寒さが到来する年には、山に三度雪が降らなくても、山と平地に同時に雪が降るようなこともよくあります。また一般に気候の温暖な南の地方では最初の降雪で、山にも里にも雪の降ることがよくあります。したがって山に三度雪が降れば里にも雪が降るといえるのは、主に北陸地方から東北南部の日本海側にかけての地方だけのようです。しかもどの山についてもいえることではありません。 

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ツバキのつぼみが葉の上に出ている年は小雪

「ツバキのつぼみが葉の上に出ている年は小雪」といわれる一方「ツバキのつぼみが葉の陰にできる年は大雪」ということわざもよくいわれているようです。いずれにしてもツバキのつぼみの着き方により、冬の雪の降りかたを予想しているわけです。ツバキのつぼみが葉の上に出ているというのは、いつもの年よりも葉の成長がよくなく、つぼみが目立つ時で、またつぼみが葉の陰になっているというのは葉の成長のよい時で、結局これらのことわざは、葉の成長の悪い時には小雪となり、葉の成長のよい時には大雪となるという意味なのです。ツバキの葉の成長の悪い時というのは、夏から秋にかけて干ばつであったり、気温の低かった年が、秋に強い台風にしばしば襲われた年と見てよいようです。いいかえれば夏から秋にかけて太平洋方面の高気圧の勢力が強く、大陸の高気圧の勢力の弱い年です。こうしたパターンには持続性があるので、冬にも大陸の高気圧があまり発達しないで寒気弱く小雪の年が多いようです。

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鳥が高いところに巣を作れば大雪

冬に大雪が降ることを鳥が予知して、巣が雪にうずまらないよう、あらかじめ巣を高いところに作るというような予知能力があるとは考えられません。しかし昔の人が実際に体験してこのようなことわざが言われるようになったのでしょう。そうだとすれば、次のように解釈することができます。大雪が降るような年の冬は寒さのきびしい年であって、このような著しい寒冬年には秋のうちからすでにいつもの年よりも大陸高気圧の勢力が強いものです。よって日本へ冷気が流れ込み、概して気温が低く、特に夜間の冷え込みがひどいことが多いようです。ところで夜間の気温の垂直分布を見ると、地面近くほど気温は低く、ある高さのところで気温が高くなります。しかしそれより高くなるとまた気温が低くなっていきます。それで鳥は、秋の冷え込みのひどい年には少し高く暖かいところに巣を作ることとなります。このような年には寒冬となり大雪が降ることがよくありますから、こうしたことわざが言われだしたのではないでしょうか。

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年末低気圧

12月の初めの頃は天気が7日周期で変化していきますが、12月半ばを過ぎると、西高東低の気圧配置となる日が多くなり、急に寒さが厳しくなります。この時期太平洋側の地方は晴天が続くようになります。しかし、年末には低気圧が通り天気がくずれやすいので、このことを年末低気圧と言います。忙しい年末のことでもあり、この低気圧をとくに年末低気圧といって注目するようになりました。このことがよく言われるようになったのは戦後です。もっとも年末低気圧の影響は地方により違います。参考までに年末の天気確率を求めて見ると、25日から31日にかけて晴天となりやすい地方は、北海道太平洋側、東海地方、南九州地方で、31日が晴天となりやすい地方は北海道太平洋側、紀伊、四国南部地方、瀬戸内海地方、南九州地方などです。31日に雪の降りやすい地方は北海道日本海側、東北日本海側、中部山岳地帯、北陸地方、山陰地方などです。

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カモメが里近く来て鳴けば荒れる

カモメと呼ばれている鳥のうちで、日本で見られるものには鳴き声が猫に似ている海猫や都鳥など十種ほどがあります。カモメは魚群の上を群がり飛ぶので、漁師にとっては漁猟のよい目標となっています。またカモメは農作物の害虫を食べるので、田畑にとっても益鳥なのです。アメリカではソルトレークシティーに1848年の夏、湖の数千羽のカモメが、この年に来襲したイナゴの大群を数日の内に全部補食し、農作物を救った事が有名です。カモメが群がり飛ぶ様は、普通海岸で見られますが、低気圧が襲来する前に次第に風が強くなり海が荒れ始めると、多くのカモメが海から陸へと避難します。それで里近くで盛んにカモメが鳴く声が聞かれるようになり、そうしたときは、すでに海がある程度荒れ始めたときで、やがて低気圧が到来して海が大荒れになると見てよいでしょう。

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カモが早く来ると早雪

カモ類の多くは夏に寒地で産卵し、ヒナを育て、冬の寒さが近づくと日本に渡って来ます。
 すなわちカモは初冬に千島、棒太、北海道を経て東北地方へ南下して来るものと、沿海州方面から日本海を渡って東北や北陸などの日本海沿岸地方に渡って来るものと、朝鮮半島から九州へ渡って来るものとがあります。この渡って来る時期は九月下旬ごろで、それよりしだいに南下し、11月中には全国的にカモの渡来が見られるようになります。カモが北陸地方に姿を見せてから関東地方に渡って来るまでには40日くらいもかかります。秋が進むと冬型の気圧配置となり、北西の風が吹き、しだいに気温が低くなります。この北西の風と気温の低下にともないカモは暖地へと渡るのですから、例年に比べて北寄の風が早く吹き始め、気候が早く寒くなるような年には、それだけカモの渡りも早くなります。したがってカモが例年よりも早く渡って来るような年にはそれだけ寒さの訪れも早く早雪となりやすいようです。

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冬、山に霧多きは大雪の兆し

 空気中に含まれている水蒸気の量が多い時に気温が著しく下がると、空気中の水蒸気が凝結して霧が発生しやすくなります。とくに冬に低気圧が日本海を通る時には、山の太平洋側の地方では、初めに温暖前線が通るため、水蒸気をたくさん含んだ南寄りの暖かい風が吹き込みます。これが山岳地帯に吹き込み、冷えて濃い山霧が発生することがよくあります。そのため山に霧が多い時には西の方から低気圧が接近して来る時が多く、さらに低気圧が接近すると、低気圧の中心から南東方向に伸びている温暖前線が通ります。これにともなってかなりの雪が降り、前線が通り過ぎると一時小降りとなりますが、さらに低気圧の中心から南西方向に伸びている寒冷前線が通り、これにともなって雪が降ります。したがって山岳地帯で冬に霧が異常に多く発生したさいには、この雪で遭難しないように注意する必要があります。一方、山寄りの地方の農家では農作物や樹木の雪害に充分警戒することが肝要です。 

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初雪の早い年は根雪も早い

日本で根雪の見られるのは主に甲信越、東北、北海道などの地方で、これらの地方の内には年により根雪の見られない地方もあるようです。初雪が見られてから根雪が見られるようになるまでは、ひと月からふた月くらいの期間がかかります。これを利用して「初雪」から根雪に入る時期を予知できれば大変つごうがよいですね。平年の初雪日と最早初雪日との差を求めてみると、根雪地帯の多くの地方では、最早初雪日は平年初雪日より20日ないし25日早く、12・3日も早い年はかなり早い年とみてよいでしょう。こうした時にはいつもより早く大陸の方から寒気が流れ込んできたと考えられます。そして平年初雪日より前に何回か雪が降るような年には大陸の高気圧の勢力が例年より強い年とみることができますから、こうした成り行きは冬まで持ち越す傾向がありますから、初雪以後にも雪の降ることが多く、当然根雪にも早く入るとみてよいでしょう。逆に、「初雪の早い年は根雪がおそい」ということがいわれている地方もあるようですが、この根拠はよくわかりません。 

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霜柱がよく立つ日は天気がよい

霜柱は赤土や火山灰土に発生しやすく、氷の細長い柱と気管の束からできています。気象台の気温がO.3度くらいより低くなると霜柱が立ち始めます。しかし地温が低くなりすぎると地下の深いところまでの地温が0度以下に下るので、霜柱の生長に使われる地下の水が凍ってしまい、霜柱が立たずに凍土となってしまいます。
 霜柱の立ちかたは、夜間の天気でちがいます。夜半に曇りだすと、霜柱の生長が衰え、時には霜柱がとけることさえあり、晴れると地面からの夜間放射が多くなり、土が冷えて霜柱が生長するのです。したがって夜間に曇ったり晴れたりすると霜柱にはいくつかの層が見られます。霜柱の最もよく立ちやすいのは、夜間を通して快晴で冷え込みのひどい日です。いいかえれば、大陸の高気圧に日本がおおわれている時であって、こうした時には低気圧が日本付近を通ることがないから、天気がよくなると見てよいのです。

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たき火が火をふけば風

このことわざは落葉や枯枝を集めてたき火をよくする晩秋から冬にかけて関東地方や中部地方の太平洋沿岸地方でいわれています。初秋には台風や秋霜のために草木が湿っていることが多いし、枯葉、枯枝が少ないので風が吹いてもたき火がそれほど勢よく燃えません。しかし晩秋になると草木が枯れて燃えやすくなるうえに、秋から冬にかけて大陸の高気圧が発達し、中部地方の太平洋沿岸や関東地方にかけては晴天に恵まれます。このとき枯れた草木が乾燥するのです。しかも大陸の方から吹いて来る北西風が中部山脈地帯を乗り越える時にフェーン現象をおこし乾燥するので、この風にあおられたき火が火を吹きやすくなります。しかもこの大陸の高気圧が発達すると引続いて2、3日は強い風が吹き続くことがしばしばあります。
よって、たき火が火を吹くような時には、強い季節風に充分警戒するようにと、このようなことがいわれるようになったのでしょう。

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ムギの葉幅狭く、短い年には大雪が降る

初冬のころのムギの葉の幅や草丈の高さはムギが発芽してから初冬のころまでの気象条件によってちがいます。このころの気候がいつもの年よりも低温であるか、著しく雨が少なく乾燥するときには、成長が阻害されて葉の幅が狭く草丈が短くなります。コムギの成長と気温との関係について研究した結果によると、気温が3度以下に下がるとだいたい成長がとまることがよくあるとみてよいでしょう。ムギの葉幅が狭く、草丈の短い年は、二月に大陸の高気圧の勢力が強く、例年にくらべて気温がかなり低い年が多いものです。このころに長期間にわたって大陸の高気圧の勢力が例年よりも強い年には、冬にもがいして大陸の高気圧の勢力が強くなることがよくあり、そのため、寒さがきびしくなり大雪の降ることがよくあるのでこうしたことがいわれたものとみられます。なおこのことわざは、どちらかといえば中部以北の太平洋沿岸地方でよくあたるとみてよいでしょう。

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霜の早い年は雪が遅く、霜の遅い年は雪が早い

秋に大陸の高気圧の勢力が早く強くなるような年、いいかえれぽ例年より秋の気温が低い年には、日本が帯状高気圧におおわれることが多く、早く寒くなりますが、この場合には日本付近を低気圧が通りにくいので降雨が少ないと同時に降雪の機会にも恵まれないこととなります。
これに対し、秋に霜のおそい年には、日本が発達した高気圧におおわれず、日本付近を低気圧がよく通るので、霜の降りるのはおくれますが、案外雪が早く見られることがよくあります。
このことについて、福井の明治30年から昭和15年までの44年間の資料について調査したものがあります。その結果によると、初霜が平年よりおそく、初雪が平年よりも早かった回数は21回あり、初霜がおそく初雪もおそい年は8回ありました。また初霜も初雪も早い年は10回、初霜が早く初雪がおそいことが11回あり、結局的中率は56%という結果となりました。これから見るとこのことわざの的中率は福井ではあまり高くないといえます。

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ガンの行列南へ行けば寒気強し

日本に渡って来るガンの種類はかなり多く、マガン、コクガン,ハクガン、サカツラガンの4属10種におよびます。なかでも多く渡って来るのはマガン属のうちのマガンとヒシクイなどとコクガンで、コクガンはマガンとちがって田畑の近くに降りないで江湾を好むので人目にふれる機会が少ないようです。このほかマガン属のヒシクイも沼や池で見かけることがあります。いずれにしても近年はガン類の渡の数が著しく少なくなっているようです。秋が深まるにしたがってガン類は北の地方からしだいに気候の暖かい南の地方へ渡って行きます。寒さが深まるにしたがいガンは列をなして南の地方へと渡って行きますが、春には南から北へと帰って行くのでガンの渡りは2回見ることができます。ガンは2季鳥なのです。ふつうは10月の初めに北海道へ渡って来て、約1か月で西日本へ渡ります。ガンの渡って来る日の最低気温はだいたい10度くらいですから、南への渡りの早い年にはそれだけ寒気が強いことになります。

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日の出後霜の解けぬ時は晴天

朝に地面が太陽の光を受けると、地面が日光のために急にあたためられて、霜が解けてしまうのが普通です。ところが、時には日出後も霜がなかなか解けない日があります。このような日は、夜間の冷え込みがひどく、霜の量が多いばかりでなく、夜間の地面温度が著しく下がるので、日光を受けてもなかなか地面温度が0度以上にならないので、霜が解けてしまうにはそれだけ時間がかかることとなります。いいかえれば、日の出後も霜がなかなか解けないような日は、非常に天気がよく、夜間放射が盛んで、夜間の冷え込みがひどい時です。
 こうした状態は秋や春に日本が発達した移動性高気圧におおわれた時で、快晴となります。この晴天は2、3日続きますが、その後から低気圧が来るのでやがて天気はくずれて雨が降ります。しかし時には帯状高気圧におおわれ、さらに霜日の続くこともあります。いずれにしてもこうした快晴の日には霜が降り、霜害を受けることがありますから、農作物など防霜に注意することが肝要です。

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冬の雨は3日降らず

日本で冬に雨が降る地方は日本海沿岸地方、北日本および山岳地帯など雪がよく降る地方を除いた地方です。そして冬に雨の降る地方の雨の原因について見ると.主に台湾坊主、土佐沖低気圧、伊豆沖低気圧の3つです。このうち、土佐沖低気圧は1・2月に多く発生し、九州から紀州にかけての南岸にかけて雨域がかなり広く、移動速度がおそいので雨天が3日以上長引くことがよくあります。
 また伊豆沖低気圧は、伊豆沖で発生する低気圧で、この低気圧も時には停滞して関東南部地方で曇雨天の続く原因となることがよくあります。したがって土佐沖低気圧と伊豆沖低気圧による雨は「冬の雨は3日降らず」といえません。これに対し台湾坊主は台湾の北端の北東海上で発生し、日本の太平洋側を北東に進みます。この低気圧による雨は降ってもせいぜい3日です。したがってこの雨の降る東海地方や関東中・北部地方では、冬の雨は3日降らずということがいえます。 

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霜多く厚い年は大雪

霜は朝方の最低気温が3度以下に下がると見られるようになります。これより気温が低い時ほど厚い霜が見られ、低温な気層が厚くなるので樹木の葉に降りる霜が高い所まで見られるようになります。霜がしぱしば降り、しかもその霜が厚い時には、例年にくらべて寒さの厳しい年といえます。いいかえれぽ、いつもの年よりも大陸の高気圧の勢力が強く大陸から多くの寒気が流れ込んで来て寒さの厳しい年であるといえます。
 大陸の高気圧の勢力の強い年には、北西の季節風が発達し、この風が日本の山脈に吹きつけて上昇するので、日本海沿岸地方は雪が降りやすくなります。また低気圧が通る時に地上の気温が6度以上の時にはかならず雨となりますが、0度以下の時には必ず雪となりますから、寒い冬には雪も多くなり、霜多く厚い年は大雪が降りやすいといえます。しかし、これとは反対に「霜の多い年は雪が少ない」ということもいわれます。これは雪が降れば霜が見られないのでこのようにいったのでしょう。

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霜の多い朝は晴れ

 晩秋から冬を経て早春にかけての寒候期には早朝厚霜が見られる日がよくあり、そのような日は晴れるということが.主に関東地方や東海地方などでいわれています。夜になると地面近くの空気が冷えて、しだいに湿度が高くなります。この場合に気温が0度以下に下がるような時には空気中に含まれている水蒸気が精華して地面や葉面が氷の結晶である霜におおわれて白く見えることがよくあります。
 このように朝に霜が多いような時には、それだけ夜間の冷え込みがきびしかった時です。いいかえれば非常に天気のよい時で、空に雲がないから、空に向かって夜間放射が盛んに行なわれて冷え込みがひどく、早朝の最低気温が現われる頃を中心として多くの霜が降りることとなります。
 要するに朝に霜が多く見られる時には夜間の天気がよく、朝の冷え込みのひどい時で、こうした時には日本が大陸の高気圧の勢力圏内に入る時ですから、少なくとも2日くらい晴天が続くことが多いようです。

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かまどの煙がたなびけば雨

かまどの煙にかぎらず多くの煙突の煙でもそうですが、煙がある高さで横にたなびいているのを見かけることがよくあります。こうした現象はとくに朝や夕方によく見かけます。これはその高さの所に気温の逆転層があるからです。気温の逆転というのは、ふつうは高いところへ行くほど気温は低くなるのですが、ある高さのところで高いところほど気温が高くなる場合のことです。
 こうした気温の逆転層があると、この層のところでは煙が上へ昇ることができなくなり、逆転層に沿って煙がたなびくことになります。天気が非常によい時に逆転層ができ煙がたなびくので、こうしたよい天気が何日も続くことは少なくやがて雨になると見てよいでしょう。また煙が横に流れている時には.上空の風が強い時です。低気圧が近づいてくるとまず風が強くなり始めるのでやがて雨となります。前者(たなびき)は春や秋に、後者(横流れ)は年中みられる現象です。

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西方の鐘がよく聞こえるときは晴

このことわざは長野県その他の地方で広くいわれています。西風が吹いている時には鐘の音波が風に乗って流れてくるので風下の遠くの方まで鐘の音がよく聞えることとなります。
 日本付近で雨を降らす低気圧は西から東へと移動し、低気圧が通ってしまうと西寄りの風が吹くから西方の鐘がよく聞えることとなり、低気圧にともなう雨もあがって天気がよくなります。それで鐘の音がよく聞える時には晴れることになるのです。また冬には大陸の高気圧が発達し、この高気圧に日本がおおわれることがあります。この場合には大陸の方の気圧が高いために、日本の各地で北西の風が吹き、また日本海沿岸地方では雨や雪が降りますが、中部山岳地帯から太平洋地方にかけては晴れることになり、しかも西風が吹くので西方の鐘がよく聞えることとなるのです。とくに気温の低い夜間や冬に風があまり強くない晴天の夜にはこうした傾向が顕著であるといってよいでしょう。

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ウシが丸くなって寝ていると天気が悪くなる

ウシが丸くなって寝ていると天気が悪くなるということは昔から農家でよくいわれています。天気が悪くなる時にはまず気圧が低くなり.湿度が高くなり、夜間はあまり冷えないが昼間は晴天の時よりも気温が下がります。こうした低気圧の近づく時の気象条件の変化が、ウシの生理や気分に影響して丸くなって寝るのでしょう。
 まず体感温度が違ってきます。畜舎内の気温の垂直分布が、雲が多い時にはちがい上下の温度差が小さくなります。また畜舎内外の温度差が小さくなるために自然換気量が少なくなり暖かくなります。そして寝れば腹部からの放熱量が少なくなります。こうしたことから寝たほうが心地よい気象環境におかれることとなります。このような物理的な関係ばかりでなく.精神的な影響も考えられます。一般に人間でも低気圧が近づいて来る時には、なんとなくだるく、眠気をもよおします。以上のようなことから本能的に寝るのであろうと思われますが、これについて実験したものがないので、当る確率は不明。

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家の中に煙がこもったら翌日は雨

たばこの煙や魚などを焼いた煙や臭気が家の中にこもる時と、あまりこもらない時とがあります。
 家屋内の空気は常に外の空気と入れかわっていいます。この入れかわりは、日本家屋の場合にはふつうは1時間に2〜3回くらいらしく、こうした空気の入れかわりを自然換気といいます。ふつうは部屋の下部から外部の空気が流れ込み、上層部から外部へ流れ出ます。この自然換気量は部屋の内外の温度差によりちがいます。温度差が大きい時にはそれだけ換気量が多くなります。家の中に煙がこもる時には換気量が少ない時で、いいかえれば家屋の内外の気温差が小さい時です。それはどういう時かというと、雲が多く、夜間放射量が少なく、日が暮れても屋外が冷え込まない時です。こうした時には部屋の内外の気温差が小さくなり、自然換気量が少なく.煙が家の中にこもることとなり、天気は下り坂で、やがて雨の降ることが多いのです。