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空夢の部屋

3月の天気ことわざ

彼岸の中日(3月21日)を過ぎると暖かくなる。

このページのことわざは、「天気予知ことわざ辞典」大後美保著
からの出典です。
著者および東京堂出版より掲載許可を得ています。

ギャラリー

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ケヤキの発芽が不揃いの時は晩霜あり、平均して発芽するときは晩霜がない

 ケヤキは春になって他の植物より比較的早く発芽します。たとえば東京付近では、ヤナギの発芽が3月初旬で、ケヤキは3月23日前後、ウメ、カイドウその他は3月末日以後に発芽します。ケヤキの発芽が不揃いであるときには,その頃の天気、なかでも寒暖の変動が例年より大きいときで、ケヤキの発芽状態が春の天候の変動の大きさを示してくれることになります。ケヤキの発芽には2週間くらいの天候が関係し、その間の天候の傾向はその後も継続することが多いものです。いいかえれば、こうした年には発達した移動性高気圧がしばしば通り、その際夜間がひどく冷え込んで霜害を受けることになります。これに対して平均してケヤキ発芽するときは寒の戻りがあまりなく、天候の進み方が順調な年ですから、晩霜による豊作物の被害をそう心配しないで良いとも言えます。

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降り入り八専、照り八専

 昔から「八専の入りに雨が降れば八専中は晴れ、入りに晴れれば八専中は降り続くことになる」などと良く言われています。八専とは十干十二支を確認し組み合わせると六十干支となり、このうちの最後の十二個を組み合わせ、中の同気の重なる八個の組み合わせのことで、六十干支は1年に6回循環するから、八専は1年に6回あることになります。一回は十二日間なので、年間の八専の期間を合計すると七十二日となります。天気は一週間くらいの周期で変化することが多いから、八専の入りの頃に雨が降っていれば、その後は晴れることになりやすく、また八専の入りの頃に晴れていれば、その後は八専中は雨が降ることが多いので、このようなことが言われるようになったのでしょう。尚、八専と雨の降り方を結びつけるようになったのは、八専の入りの日は壬子(みずのえね)水水の日に当たり、八専最後の日は癸亥(みずのとい)水水の日であり、いずれも水が関係しているからでしょう。

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雲行き速く、空黄色を帯びる時は大風あり

 早春には雲行き速く、空が黄色く見えることがあります。こうした時には、中国方面から日本にかけて強い風が吹いている時で、その砂塵が風で空高く舞いあがり、それが強い北西の風に流されて日本の上空へ流れて来るので空が黄色味を帯びて見えるのです。この場合には、天気図を見ると西高東低の気圧配置となっていて、満州から日本にかけて高気圧におおわれていて天気がよいものです。こうした状態は二日くらい続くことが多いから、雲行きが速くなりだし、空が黄ばんで見える時には大風に警戒したほうがよいでしょう。大風で軽い耕土の地方では、耕土が飛ばされるので、この飛土の害を防ぐには一時灌水したり、またビニール温床やハウスが風害を受けるから補強してやる必要があります。ただ空が黄色味を帯びていても流れる雲の量が多い時には、低気圧が近づく時ですから、やがて雨が降り飛土の害を心配しないでもよくなります。五月以後になると満蒙が緑におおわれ黄砂が飛んでこないようになります。


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朝北風、夕南西の風は晴れ

春や秋には移動性高気圧と低気圧とが交互に通ります。移動性高気圧が通る時には、その前面で北寄りの風が吹きますから、朝に北寄りの風が吹くような時は、少なくともその日は晴れることが多いようです。しかし、夕方に南西の風が吹く時には低気圧が近づいて来る時ですから、翌日雨天となることが多いのです。このことわざはこうした関係ではなく、天気のよい日に発達する山谷風や海陸風の関係から「晴れ」を予想していると思われます。北に山があり南に海のある地方(太平洋沿岸地方)で主に春や秋によくいわれることわざなのです。これらの地方では、天気のよい朝には山から平地に向かって北風である山風が吹くこととなります。また天気のよい日の夕方には海の方から陸に向かって南風が吹くことになるのです。こうした山風や海風は移動性高気圧におおわれた天気のよい日ほど発達しますから、朝北風が咲く日は、また夕に南西の風が咲けばその翌日はだいたい晴れると見てよいでしょう。

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彼岸太郎に八専次郎、土用三郎に寒四郎

彼岸の1日目、八専の2日目、土用の3日目、大寒の4日目が晴れならば、これらの期間中は晴れが多く、雨ならば雨が多いということを「彼岸太郎に八専次郎、土用三郎に寒四郎」といいます。これは語路がよく覚えやすいこともあって昔から広くいわれていたようです。彼岸の1日目とは春は3月17、8日、秋は9月20、21日ごろです。彼岸は6日間あります。八専の入りは十干十二支の組合せが壬子水水(みずのえねすいすい)の日に当たり、この日から癸亥水水(みずのといすいすい)の日までの12日間が八専です。八専は一年に6回あります。土用は立夏、立秋、立冬、立春の前18日間をそれぞれ夏、秋、冬、春の土用といいます。寒四郎とは寒に入ってからの4日目ですから1月8、9日のことで、寒の期間は約29日です。天気はある程度周期的に変化しますから時にはこうしたことがいえるでしょう。「八専の入りに晴れれば、12日間は天気よし」「降り入り八専、照り八専」などともいわれています。

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沖がまくれば雨

このことわざは佐賀県その他の地方でいわれていて、沖がまくれぱというのは沖が荒れれぱという意味です。雨は主に低気圧に伴う前線によるもので、前線は強い風を伴うことがあるので、沖が荒れるような時には雨が降ると見てよいこととなります。とくに春や秋には低気圧がよく通り、こうしたことがいえます。また台風が接近する時にも沖の荒れかたを見てその接近や、やがて雨となるということを知ることができます。しかし真冬には快晴な日にむしろ沖が荒れることがありますから、沖が荒れても雨とはいえません。これは冬の強い西風が吹き海が荒れるような日に、大陸の高気圧が著しく発達し西高東低の気圧配置となった場合で、日本海沿岸地方では雪が降り、一方太平洋沿岸地方では快晴に恵まれるからです。風が強いほど波は高くなり、風速10メートル以上になると波の高さは4メートル以上になります。

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春は海、秋は山

「春は海、秋は山」とは春には海の方向が晴れ、秋には山の方向が晴れれば天気がよくなるということです。これは、春の天気は海の方の空模様で予想でき秋の天気は山の方の空模様で予想できるという意味のことをいっているのです。このことわざがいえるのは、主に太平洋沿岸地方です。春には台湾沖に発生する、いわゆる台湾坊主などの低気圧の多くが日本の太平洋側を通過することがよくあります。このとき海の方面に雲が多くなれば、天気が悪くなるので春は海といえるわけです。一方秋には、低気圧が日本海側を通ることがあり、北の山に雲がかかっている時に天気が悪くなることが多いので秋は山といえるのです。しかし低気圧の通りかたにはかなり例外も多く、かならずしも「春海、秋山」といえるわけではありません。また「春南、秋北」ともいうこともありますが、これは海を南、山を北とおきかえたもので、全く同じ意味のものです。

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阿蘇の煙、西になびけば雨となり、南になびけば好天となる

低気圧が近づいて来ると天気が下り坂となり、やがて雨が降り始めます。また移動性高気圧が近づいて来る時には次第に天気がよくなります。低気圧も移動性高気圧も日本付近では西から東へと移動するものが多く、この移動に伴って天気が変化します。低気圧は左巻の大きな渦巻であり、低気圧が南の方から近づいて来る時にはその前面では東寄りの風が吹きます。したがって阿蘇の煙が西になびくような時には低気圧が接近している時ですから、やがて雨が降り始めることが多いのです。そして低気圧が通過してしまうと、北寄りの風が吹くようになり、阿蘇の煙が南になびき、やがて天気は回復して晴れることとなります。このことわざがどのくらい当るかについて確かめた結果によると、的中する確率は80〜90%ですから、天気予報の平均の確率よりいくらか高いということになります。

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雪どけに地肌と雪の密着する年は凶作

雪の解けるころに気温が急に著しく下がり、夜間にO度以下に下がると、昼間の暖かさで解けた融雪水が、夜間の冷え込みで凍ってまだ解けない雪と地肌がくっっいてしまうことがある。雪解けの季節に気温が異常に下がると、こうしたことがよく見られ、そうした年はかなり気候が不順な年と見てよい。そして春の天候がこのように不順な年にはその後の天侯も不順となることがあり、そのために春から夏にかけての農作物が不作となるのでこうしたことがいわれるのであろう。なかでも直接大きな影響を受けるのは冬越の農作物であり、雪とげの季節で耐寒性がやや弱くなっている時期に、急に寒さがもどり、強度な寒気に襲われると寒害を受け減収となる。一般に夏の天候が著しく不順な年にはその徴候は春の頃からすでに現われることが多いから、春の天候が異常な年には一応その後の天候の推移に充分注意することが肝要である。

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朝遠くの山がはっきり見えればその日は晴れ

朝遠くの山がはっきり見える時はかなり広い地域にわたって天気がよい時です。低気圧が近づいている時には南寄りの風が吹き、この風が太平洋の方から水蒸気を運んでくるので、雲や霧が発生しやすく遠くの山もかすんで見えるのです。広い地域にわたって天気がよい時には、発達した移動性高気圧におおわれる時であるから少なくともその日は晴れます。同じ理由から、関東地方では昔から「朝富士に夕筑波」といい、朝に富士山が、夕に筑波山が見える時には翌日が晴れるといわれていました。朝富士、夕筑波といったのは、江戸から見て朝は朝日を受けて富士がよく見え、夕には筑波山が夕日を受けてよく見えるからです。なお京都では「愛宕山が見えれば晴」といい、ある調査ではこの当る確率は72%で、愛宕山が見えない時に雨の降る確率は46%で、愛宕山の見えかたでは、雨天よりも晴天のはうが当る確率が高いといえます。

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朝霧は晴れ

朝に発生する霧を朝霧といいます。夜間の天気がよく、空に雲がないような日には、地面から空に向かって夜間に放射する量が多く、このため地面に近いところほど冷えて、空気中の水蒸気が凝結して霧が発生します。早朝の気温が最も冷えますから、朝方に霧の発生量が多いわけです。このようにして霧が発生するようなときには高気圧におおわれ、夜間を通じて快晴のときですから、少なくともその日は晴天となることが多いのです。そして朝の冷え込みがひどい時ほど、高いところの気温が下がって、それに応じて霧の層が厚くなります。それで、「朝霧が高いとその日は天気」ということもいわれている。
霧の層が厚い時には、日が出て地面が暖められると、下のほうからしだいに霧が消え高いところだけに霧が残っていることがあり、このような時にはそれだけ夜間の冷え込みのきつい時であるからその日は快晴となります。

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朝茶がうまいと天気がよい

朝茶のうまさは朝の気象条件と密接な関係にあるようです。朝の湿度が低く乾燥している時のほうが、湿度の高い時よりもおいしく飲めると言われています。乾燥していると喉が乾きやすいので、それだけおいしく飲めるわけですが、雨がしとしと降っている時などあまりおいしくありません。
 朝茶のうまさには気温も関係します。気温は低いほうがおいしいようです。暑い夏の朝茶より春や秋の気候の涼しい季節の朝茶のほうがおいしいのです。こうしたことからみると、朝の気温が低く、乾燥している時に、がいして朝茶がおいしく飲めるといえ、そうした気象条件はどのような時に起りやすいかというと、日本が大陸の高気圧や大陸からの移動性高気圧におおわれた時です。大陸から流れて来た空気は乾燥しているので、この場合には湿度が下がります。また高気圧におおわれると、夜間放射量が多くなるので、朝が冷えます。したがって朝茶がおいしい日は、優勢な大陸性高気圧におおわれた時で、そのような時には少なくともその日は晴天となります。

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1、2月に雪無ければ晩霜多し

1、2月といえば雪のよく降る季節ですが、この時期に雪が降らないような年は暖冬といってよいでしょう。暖冬の年にはしばしば冷え込んで晩霜が多いかというとそうでもありません。それにも関わらずこのようなことが言われるのは、暖冬年にはとかく農作物の生育が例年よりも早く進み、農作物の生育が早く進むと春になると寒さに弱くなるので、それだけ霜害を受けやすくなるからです。
 たとえば、昭和24年は例年にない暖冬で、北陸地方でも雪がみられないほどでした。そしてこの年には麦の生育が早く進み、4月15日には作付け面積の役14%が出穂するという状態でした。ところがこの年は、3月に入ってからかなり低温に見舞われて霜害を受けて幼穂の枯死するものが多くあったようです。

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茶碗のご飯粒がきれいにとれると雨、つくと晴れ

茶碗にくっついている御飯粒がとれやすく、きれいにとれる時は、空気が湿っていて御飯粒が乾燥しない時です。一方茶碗についている御飯粒がなかなかとれない時は空気が乾燥している時で、御飯粒がすぐ乾き、取れにくくなる時です。すなわち、御飯粒の茶碗へのくっつきかたは、空気の乾燥の程度を示すこととなります。そして、通常低気圧が近づいて来る時にはその前面では湿った南寄りの風が吹きます。このために茶碗の御飯が乾燥しないでとれやすくなります。このような時にはやがて低気圧にともなう温暖前線が通過して雨が降ります。
 一方茶碗の御飯粒がとれにくいのは、空気の湿度が低く.乾燥しやすい時で、いいかえれば日本が大陸性高気圧の勢力圏内に入り空気が乾燥している時で、こうした時には 少なくとも一昼夜くらいは晴れます。なおこうした傾向は夏よりも.秋から春にかけて顕著です。

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早朝暖かい時は雨

早朝は一日のうちでは最も気温の低い時刻ですが、この早朝がいつもより暖かい日があります。こうした日にはやがて雨が降るというのです。雨の原因は低気圧や前線で、これらが近づいて来るとしだいに空に雲が多くなり、このために大地から夜間放射により逃げてゆく熱量が少なくなり冷えないから、いつもより早朝が暖かくなるわけです。もっとも春には「朝曇は晴」といわれて、海岸に近い地方では快晴の時には海陸風の関係で朝に曇ることがありますから、曇って暖かくなっただけでは雨とはいえません。
早朝が異常に暖かい今一つの原因は、低気圧が近づいて来る時に、その前面では南寄りの風が吹きます。南風は暖かいので、早朝暖かい時には低気圧がかなり近づいて来ているので、やがて雨が降ります。このことわざはとくに関東以西の太平洋沿岸地方では適用されるようです。

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霜強ければ雨となる

強い霜が見られた後には雨が降るという意味のことわざはいろいろいわれています。いくつかの例をあげて見れば「大霜の後は必ず雨なり」「大霜の後暖きは雨近し」「大霜あれぽ三日のうちに雨が降る」「大霜の明後日は雨」などがあります。春や秋に見られる大霜は大陸の高気圧が発達してその勢力圏内に入り、夜間が晴れて地面から空に向かって盛んに熱が逃げて、このため冷えて霜が降りる場合よりも、大陸方面の高気圧の一部がちぎれて大陸方面から朝鮮を経て日本の方へ移動して来る移動性高気圧がちょうど日本の上を通るさいに見られることが多いようです。移動性高気圧が通るさいには快晴となり、そのため夜間放射量が多くなり、地面や葉面などが冷えて霜が降りることとなります。ところが、春や秋には、この移動性高気圧が通ると、その後から低気圧が近づいてくるので、強い霜が降りた後には雨が降ることがよくあり、霜害の後始末はなるべく早く行なうようにしなければならないのです。

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スズメが水を浴びると晴れ

スズメは人家の近くで最も普通に見られる小鳥であるために、昔からこの鳥の動作についてはよく観察されていて、その結果いわれだしたことわざの一つでしょう。
雨があがった後で雨水の溜ったところで、スズメが盛んに水をはねあげて、いわゆるスズメの水浴をしているのを見かけることがよくあります。こうしたスズメの動作は雨の降っている間は見掛けられず、雨が止み、日がさしてきた時に見掛けることが多いものです。したがってスズメは晴れてきたときに、いいかえれば低気圧や前線が通ってしまい雨が止んだ時に水浴するわけですから、スズメの水浴が見られるようになればその後は晴れると見てよいでしょう。これはスズメが晴れるのを見透して水浴びをしたのではなく、晴れたから水浴びをしたのです。春や秋には低気圧が通る時に雨が降り、低気圧が通ってしまうと後から移動性高気圧が来て晴れるので、スズメが水浴びをするような時にはその後2・3日は晴天が続くことが多いようです。

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ヒバリが高く昇れば晴

ヒバリのさえずりを聞くと、いよいよ春が来たという感が深まります。このヒバリについて「ヒバリが高く昇る時は晴」ということがいわれます。ヒバリの昇る高さは、普通100mくらいで、滞空時間は7、8分くらいのことが多いようです。ヒバリが同じ高さに昇っても空気中の水蒸気の含量により音の伝わる速さがちがい、水蒸気の含量が多い時には音がよく伝わるために低く聞えるのに対し、水蒸気含量が少ない時には反対に高く聞える。したがって、ヒパリが高い所で鳴くように思われる時には空気中の水蒸気の含量が少ない時と見てよいでしょう。
 そしてこのような時には大陸の方から移動して来た高気圧におおわれた時ですから、少くともその日一杯、時には翌日も晴れることが多いのです。これに対し「ヒバリの舞上り低い時は暴風の前兆」ともいわれます。春には大風が吹くことがよくあり、こうした時には高いところほど風が強いため、ヒバリがあまり高く飛べないからです。

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朝霞(かすみ)は晴れ

朝早く春の野や山にたなびいて見える霞は空気が冷えてその中に含まれている水蒸気が凝結して小さい水滴となって空気中に浮んでいるものです。気象現象としては霞は霧と全く同じものですが、俗には春に発生する霞を霧と呼んでいます。春の霞は風の静かな時にたなびいて見えることが多く、霞からは春らしいなごやかな感じを受けます。春になると西高東低の冬型の気圧配置がくずれて、南寄りの風が吹くようになり、太平洋から水蒸気を含んだ暖かい空気が流れ込み冬のころより空気中の水蒸気が多くなります。しかも春には移動性高気圧と低気圧とが交互に通るようになり、移動性高気圧におおわれた時には快晴となり、夜間が冷え込み朝霞が発生します。
 したがって朝霞が見られる時には少なくともその日いっばいは晴れることが多いのです。朝霞は、気温の垂直分布の逆転層のところに発生し、日が高くなるにしたがって下層から気温が高くなり、霞はしだいに消えます。

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朝曇の夜晴

朝どんより曇っているような日の夜には晴れるということがいわれています。朝曇る原因にはいろいろあります。低気圧が近づいているために朝曇ることがありますが、この場合には低気圧の進行方向が変らないかぎり低気圧が到来して雨が降り始めることになりますから、朝曇っていても夜に晴れるようなことはありません。
 それではどのような時に朝曇っていて夜晴れるかというと、春や秋には移動性高気圧がよく通り、この高気圧におおわれる時によく見られます。西の方から移動してくる高気圧の前面では北寄りの風が吹きます。また移動性高気圧におおわれると、快晴となり、地面からの放射量が増えて山の斜面が冷えて逆気流が発生し、また陸は海より冷えます。こうしたところに海上の暖かい空気が流れ込むと、この暖かい空気が冷えて、いわゆる朝曇りとなります。それでこの朝曇りは陸地が暖まると消えて晴れるので、その日の夜には晴れることが多いということになります。

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七星全部が雲におおわれれば3日のうちに雨

七星とは中国の星学で北斗七星の七つの星の総称のことであり、また地球を取りまく主な星としては、太陽・月のほかに火星・水星・木星・金星・土星などがあり、いずれにしても七星全部が雲でおおわれるような時というのは、ほとんど全天が雲でおおわれている時と見てよいでしょう。そして春や秋ならば発達した低気圧が西の方から近づき、その前面の温暖前線のために空が一面雲でおおわれている時か、梅雨時であれば、東西に長く伸びた梅雨前線が発達した時です。
 したがって、いずれにしても、こうした時には空が厚い雲でおおわれるから七星全部が見えず、3日のうちに雨が降り始めることが多いようです。ただ梅雨時には、東西に長く伸びた前線が日本の上に発生しやすく、この停滞前線のために七星全部が雲におおわれることがよくありますが、この場合には必ずしも3日のうちに雨が降らないこともあります。

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彼岸桜の上向きに咲く年は天候順調にして豊作の兆し

ヒガンザクラはソメイヨシノより早く、葉より先に咲きます。年によってもちがいますが、ヒガンザクラが彼岸のころに咲きはじめるのは、九州から関東南部にかけての太平洋沿岸の地方です。
 ヒガンザクラの咲くころの天気が晴天に恵まれているときには、花梗(かべん)がしっかりしているので花が上向きに咲き、花の色も鮮やかで、美しい花を楽しむことができます。これに対し、この時期に曇雨天が多いと花梗が軟弱となりがちで、そのため花が垂れて下向きに咲くこととなります。したがって、ヒガンザクラが上向きに咲く年は3月下旬の天気のよい年とみることができます。
 ところでこの頃は菜種梅雨などといって、春の長雨(春霧)の季節に当っていて冷たい雨が降り、時には雪が降ったりします。ヒガンザクラが上向きに咲く年には、この期間の天候が例年になくよい年で、このころ用意する苗類によい影響を与え、さいさきよい感じを受けることからでしょう。

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青夕焼けは大風となる

春には日本海を低気圧が通るさいに太平洋の高気圧が発達して、南の太平洋の方から日本海の低気圧に向かって南風が吹ぎ込むことがあります。この南風は低気圧が発達するにしたがって強くなり、いわゆる春の大風が吹くこととなります。風が強いと塵埃(じんあい)が吹きあげられ、このために日光光線が屈折して青色の夕焼けが見られることになります。したがって、青夕焼はすでに大風が吹いている証拠で、この風は日本海の低気圧が発達すればするほど強くなり、時には台風なみの風速ともなるので、青夕焼けが見られた時には家屋、とくにビニールハウスなどの風害に注意することが肝要です。
 しかし、日本海低気圧は多くの場合、停滞しないで北東に進むので、冬の季節風のように何日も強い風が吹き続くことはなく、1日も吹けばおさまる場合が多いようです。しかし年によってはこうした春の嵐が何回も訪れることがあります。そして4月下旬になればだいたい春の嵐は見られなくなります。