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空夢の部屋

7月の天気ことわざ

梅雨前線の南北への移動が、全国の天気を左右する。7月20日頃に梅雨明けすることが多い。

このページのことわざは、「天気予知ことわざ辞典」大後美保著
からの出典です。
著者および東京堂出版より掲載許可を得ています。

ギャラリー

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5風10雨は作がよい

 月のうちで強い風が吹く日は5日あり、雨の降る日が10日あるような年は、天候が順調であるから農作物の作柄がよくなるということが言われています。ここで、東京についてみると、3、4月の頃の気候が順調な時には暴風日数が5日、日降水量1mm以上の降水日数は9日ないし10日で、だいたい5風10雨の年が多いのですが、こうした関係は地方により違うので、どこでも5風10雨は作が良いとはいえないでしょう。また夏には5風10雨でも台風による5風10雨なら作が悪くなります。さらに5風10雨とは5日目に風が吹き、10日目に雨が降るような年は気候が順調で一般に農作物の作柄も良くなると解釈できます。この場合にも、農作物の種類や、風や雨の強さによっても違うので一概に5風10雨は作が良いとはいえません。こうした関係は地方により、また作物の種類によっても違うので、一概に5風10雨が良いとはいえませんが、いずれにしても強い風で無ければ作は良いでしょう。

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八専の入りに晴れれば、12日間天気良し

 八専は貞享三年(1686)に、貞享暦を発行するに当って、この暦に民衆の生活に関係の深い暦注13箇条が採択され、そこに彼岸、土用、八十八夜、入梅、半夏生、節分などとともに当時民間でいわれていた八専が取りあげられたのです。八専とは暦で壬子(みずのえね)の日から発亥(みずのとい)の日までの12日間のうち丑、辰、午、戌の間日として除いたそのあとの8日のことであって、八専は一年に六回ある。この八専について、「八専の入りに晴れれば、12日間天気よし」とか、八専の第一日目を八専太郎といい、「八専太郎が晴天ならば八専中は雨がちとなり、雨天ならば晴が多い」などとよくいわれています。.以上ことわざには気象学的な根拠はないのですが、天気の変化には、その季節季節である程度の周期的変化があり、こうした変化の周期は夏や冬には比較的長く、春や秋には短く、たまたま八専の周期と一致することがあり、こうしたことがいわれるようになったのでしょう。

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深夜池面に水蒸気の上昇するときは干ばつの兆し

 夜間になると、日射を受けないために、空気も池の水も温度が低くなります。ところがこの温度の下がり方は気温と水温とでは著しくちがいます。それは空気よりも水の方が熱容量が著しく大きいからです。すなわち水は空気より熱の容量が大きいので、夜間に気温が下がっても水温は気温ほど下がりません。そのため夜間には気温より水温の方が高くなり、風呂の水から盛んに湯気が登るのと同じ原理であたたかい池の水面から水蒸気が立ち登るのが認められます。空気より水の方が熱容量がはるかに大きいので、何日も天気のよい日が続き、夏の強い日射を受けると池の水が暖められ夜間には気温より著しく水温の方が高くなり、それだけ水蒸気の上昇するのが顕著に認められます。深夜に池の面から盛んに水蒸気が上昇するのを見た時には干ばつを警戒する必要があります。こうしたことは深い池より浅い池でとくに認められます。

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雲が西に入る時は雨、出雲の時は晴天

 このことわざは宮城県下その他の地方でいわれています。西の空を見て、雲が西のほうへ流れて行く時には、やがて雨が降るし、また出雲とは、東または南の方向のことで、この方向へ雲が流れて行く時には晴れるというものです。日本付近を通る低気圧はいずれも西から東のほうへ移動します。したがって低気圧が西のほうから近づいてくる時には、この低気圧に向かって空気が流れるので東寄りの風が吹き、そのため雲が西の空に入ることとなり、こうした時にはやがて低気圧が来て雨が降ることがよくあります。
 また西ないし北寄りの風が吹き、雲が東または南の方向に流れて行く時には、低気圧が東の方へ去ってしまった証拠ですから、晴れることとなります。このことわざと同じように解釈できるものに「雲が南から東へ動くと晴」「雲、西より東すれば晴」「雲が西から南へ進めば晴」などがあります。

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九つどきの雨あがり蓑笠(みのがさ)いらず

 九つどきとは現行の時刻でいえぽ正午または夜半にあたり、この時刻のころに雨が止むような時には、その後は晴れるから雨具の用意をしないでも大丈夫であるというのです。夜半に外出するようなことはめったにないわけですから、このことわざは昼の12時ごろの雨が止むような時には、夕方までは雨を心配しないでもよいということをいっているものと解釈してよいでしょう。正午ごろに止む雨はだいたい低気圧の中心が5キロメーキル以上北の方を東進する温帯低気圧の場合で、この場合には温帯低気圧の中心から東南方向に伸びた温暖前線と、西南方向に伸びた寒冷前線を伴っているから、まず初めに温暖前線が通過する時に、これに伴って雨が降り、前線が通り過ぎると、いったん晴れるが次に寒冷前線が通るので雨が降り、したがって昼の12時ごろに雨が止んだ時には、次に寒冷前線が来て雨が降るまでに少なくとも5時聞以上かかるから、少なくとも夕方くらいまでは雨具がいらないとみてよいでしょう。

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雷が鳴れば梅雨が明ける

梅雨期には雨が降り続いて陰鬱な日が多いので、梅雨が一日も早く明ければと 望む気持ちは誰しも同じです。しかし、晴れ上がったので梅雨がもう明けたかと 思うとまた雨が降ることが良くあります。それで何か梅雨が明けた手がかりがほ しく、その一つとして「雷がなれば梅雨明ける」と言われています。雷の原因に はいろいろあり前線に沿って発生する雷を前線雷といい、梅雨前線が発達したと きも、そこに雷が発生することがありますから、雷が鳴れば梅雨が明けたと単純に決めつけるわけには行きません。しかもこの前線雷は昼間だけでなく夜間にも見られます。それではどのような雷が鳴れば梅雨明けと見て良いのかというと、梅雨の末期の頃になり、晴れている日の午後に雷が発生した時なのです。この雷は、前線雷ではなく、地面が日光で熱 せられて強い上昇気流が起こって発生する雷、すなわち熱雷で、この種の雷が活 躍するようになれば、梅雨が明けたと見て良いでしょう。

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梅雨あがりの東風は干害をおこす

梅雨が明ける頃になると、太平洋高気圧の勢力が次第に強くなり、日本がこの 高気圧におおわれ、梅雨前線が北に押し上げられて天気の良い日が増え、梅雨が 明けます。ところが、梅雨上がりのこの頃に太平洋沿岸地方で東風がよく吹くよ うなときには、太平洋高気圧の勢力がいつもの年より強く、日本の方へ大きく張 り出し、さらに朝鮮の方まで張り出していわゆる鯨のしっぽ型の気圧配置になり ます。この場合、この気圧配置はなかなか崩れず、また概して台風の来襲も少な いので、九州から関東にかけての地方、とくに太平洋沿岸地方では暑い晴天の日 が続き干害を受けることがよくあります。昭和14年・昭和22年・昭和27年 の大干ばつの年は、いずれも梅雨上がりに東風の吹く日が多かった記録が残って います。 

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馬の腹と土用波とは鳴るほどよい

馬は、体の大きい割合に胃が小さく腸が長いので、便秘を起こしやすいから腹 が鳴るようなときには便秘を起こさず健康だといえます。一方、土用波とは、台 風が接近する時に強い風の影響を受けて海面がうねりを生じて発生する波長の長 い波のことで、海岸に押し寄せ、海底にぶつかるといわゆる海鳴りが鳴るわけで す。土用波が鳴るほどよいというのは、台風が来襲するほどよいということにな り、ちょっと矛盾を感じるかもしれません。しかし、土用の頃の台風は、普通は 西に偏って通るものですし、南の方から暖気を持ってくるので、関東以北の地方 では、台風がしばしば来るようなら、冷害の心配もなく豊作となることが多いの です。また、西の地方も、多少風害を受けても干ばつになることはないわけです 。このようなことから、「馬の腹と土用波は鳴るほどよい」と言われているよう です。

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朝東風、夕西風、大日照りのもと

朝は東風が吹き、夕方には西風が吹くというように、朝と夕とでは風向きが変 わる日が続くときには大干ばつになるおそれがあるといいます。このような風の 吹き方はどのようなときに起きるのでしょうか。朝夕で風向きが逆になるのは、 海陸風・湖風・川風・山谷風などがあります。海岸が西に面している地方では、 夜間には陸上の空気が冷えて、海の方に向かって陸風が吹き、朝方まで東風が吹 きますが、夕方になると日中太陽で温められた地温がまだ下がらないので、海か ら陸に向かって西風(海風)が吹くことになります。大きな湖水や河川などもそ の位置によって朝と夕に同じような風の吹き方をするものです。こうした状況が 何日も続く時には、小笠原高気圧の勢力が強く、日本もその勢力下に入っている ときで、干ばつになりやすいといえます。しかし、ごく限られた地形の条件でも 起きる現象ですから、どこでも言えること・・ではないでしょう。

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蚊柱立てば雨

蒸し暑く感じる夏の夕暮れに近くの道路で蚊が柱状に群がり入り乱れて飛んで いるのを見かけることがよくあります。これは、かの生殖活動です。最初はオス の一・二匹が飛んで来たかと思うと、そこにたちまちたくさんのオスの蚊が集ま り、このオスの群にメスが鳴きながら参加し、蚊柱は見る見るうちに大きくなり ます。およそ500〜600くらいの蚊群となり、いずれに風に向かって飛んで 、蚊柱は変形したり、移動したりします。そして多くの場合、この蚊柱は40〜 50分で消えてしまいます。蚊の産卵には水たまりが必要です。蚊に雨が降り、 水たまりができることを予測する超能力が有るわけではないのですが、低気圧が 近づき湿度が高くなり、蒸し暑くなると本能的に生殖活動をするようになるので しょう。実際に蚊柱が立つと、一日二日のうちに雨の降ることが多いようです。

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流星多い年には異常気象が起こる

流星が多く見られるときには異常気象が起こりやすく、凶作となることは古くから世界各地で言われています。流星が気温の変動と密接な関係にあると言うことは、多くの人達によって認められています。守田康太郎氏によると、アンドロメダ座流星雨とジャコビニ座流星雨の出現と和歌山の日々の気温較差の月平均とは関係があるようです。ヨーロッパにおいてアンドロメダ座流星雨のあった年、すなわち1798年、1830年、1838年、1847年および1867年についてパリの冬の気温を調べてみると例外なく異常低温となっています。また、高橋浩一郎博士は異常に多くの流星雨の見られた年は、1798年から1946年までの間に20年あり、それらの気象状態を調べて見ると、その翌年は雨が少なく、冬の気温が低い傾向にあることを認めています。そして日本においては、こうした年の前年および翌年に特に顕著な干ばつと凶冷が多く、1800年代には干ばつ、1900年代には凶冷が発生しています。

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白虹張れば干天

夏の夕立のあとに、七色の美しい虹の橋が見られることがよくありますが、七色がはっきり識別できない白っぽい虻が見られることがあり、これを白虹といいます。この虹は空気中に浮いている水滴が細かいと、これにあたって屈折した太陽の光の色が、かさなって白く見えるためで、下層から上層までの空気が乾燥し水蒸気の少ない時に見られます。このような白虹が見られる時には、夏に太平洋の高気圧の勢力が強く、日本がその高気圧におおわれて非常に天気の良い時に見られます。そしてこの場合には太平洋の高気圧の勢力がなかなか弱くならないので晴天が続き、干ばつとなることが多いのです。また、「白虹日を貫けば兵乱の兆し」ということが昔からいわれていますが、この場合の白虹は太陽の周囲にできた暈(かさ)に似た光学現象、すなわち太陽暈のことです。昔は干天になると飢饉となり、これが原因となって兵乱がよく起ったので、このようなことがいわれるのでしょう。

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東北の風長く続く時はその年凶作

 このことわざは主に北日本でいわれています。夏に北東の風がよく吹くような年とはどのような年かというと、北極を中心とした大気の極渦がいつもの年と違って大きくうねり、二方向あるいは三方向に張り出す時です。この張り出しの一つがオホーツクの海に寒気を送り込み、その結果オホーツク海高気圧が例年よりも強くなると、ここから冷たい空気が北日本の方へ流れ込み冷害を受けることになります。したがって北日本で北東風が長く吹き続くような時には、オホーツク海高気圧の勢力が例年よりも強いと見て、凶冷を警戒する必要があります。門脇氏が調査したところによると、やませ風が三日くらい吹き続くような時には、気温が1・4度くらい下る程度ですが、これが六日も吹き続くと気温が4度近くも低くなり凶作になる可能性が非常に強くなります。 

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太陽の真っ赤な時は日照りとなる

太陽がとくに真っ赤に見えることがあります。こうした現象は日出や日没のころにとくによく認められます。太陽がいつもよりとくにきわだって赤く見える時にはその辺一帯の天気がよく、そのため太陽の光が空気の長い層を透過します。このとき空気に含まれる慶などのために光が散乱して波長の長い赤色に近い光が主に見えるからです。日の出のさいや、太陽が西に沈むさいには日光がとくに長い空気の層を横切ることとなるので、空に雲が無く空気中の水蒸気含量が少なく澄みきっているような時には、日光がそれだけ地面近くの細塵の多い層を長い距離にわたり横切ることとなるので、波長の短い光が途中で吸収されるのに対して波長の長い赤い光が透過するので赤く見えることとなります。いいかえれば、太陽が真っ赤に見える時には発達した高気圧におおわれ、その付近一帯が非常によい天気の日が何日も続いている時であるから、当然日照りを警戒しなげればならないわけです。

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空梅雨土用蒸し

梅雨期に雨があまり降らず空梅雨となる年には極暑期に当る土用の暑さが厳しいということがいわれています。ふつうは六月に日本付近に梅雨前線が停滞して長雨となり、そのため暑さはあまり厳しくなりません。ところが年によって例年より早く太平洋の高気圧の勢力が強くなり、日本がこの高気圧におおわれて雨がほとんど降らない空梅雨となることがあります。梅雨期に太平洋方面の気圧が発達し、朝鮮半島の方まで張り出し、いわゆる鯨のしっぽ型になると、こうした気圧配置は持続しやすいために、梅雨期から土用にかけて日本が太平洋高気圧におおわれ、夏の強い日射を受けて気温が高くなるぱかりか、南の洋上から湿った暖気が吹き込み、結局土用蒸しとなるのです。厳しい蒸し暑さは楽ではありませんが、こうした年には稲は豊作となります。なお空梅雨年には強い台風が襲来しやすいものです。室戸台風、カスリン台風、ルース台風なとはその例です。

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夏の東風は凶冷

盛夏期にはふつうは太平洋高気圧が発達するから、南寄りの風が吹き、暑さがきびしくなるのが普通ですが、年によっては北太平洋の高気圧が異常に発達し、オホーツク海高気圧が日本の方へ舌状に張り出し、東ないし北東の風、すなわちやませ風が吹き続くことがあります。この風は北東の方から吹いて来るので気温が低く,凶冷の原因となります。この場合にはやませ風が連続して長く毎日吹き続く時ほど気温が低くなります。門脇氏が青森県の八戸測候所のやませ風について調査した結果によると、やませの連続吹日数が長い時ほど気温が低下し、とくに連続吹日数が四日くらいより長くなると、気温が平年より著しく低くなり、五日以上も吹き続く場合には平年よりも気温が3度以上も低くなることを明らかにしています。このことからわかるように、北日本では夏に東風が吹き続くような時には夏の気温が下がり、凶冷となることが多いのです。

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星がチラチラすると雨

星がちらついて見えるような時には、晴れていてもやがて雨が降り始めるというのです。星がひどくまたたいて見えるのは、星の光が人の眼に入るまで、大気を横切るさいの影響によるものです。これは川底に空缶や硬貨のような反射するものがあると、川面に起る波の影響を受けてこれらがキラキラ光って見えるのと同じような原理によるものです。すなわち、寒冷な空気と温暖な空気とが上下に相接してそこに不連続面が形成されていると、非常に遠いところにある星から来た平行光線はこのしゆうれん不連続面で屈折してそこに光束の収敏と発散とが起こります。そしてこの場合には収敏光線が眼に入れば明るく感じ、発散光束が眼に入る時にほ暑く感じることとなります。そして大気の不連続面の波は移動して行くので眼には収劒光束と発散光束とが交互に入ることになり、星がチラチラ見えることになります。大気の不連続面は低気圧の前面で起こることになるから、星がチラチラ見える時には雨となります。

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花多ければ大風

花が多く付くような年には大風が吹くという意味のことわざがいろいろいわれています。たとえぽ「桐の花多ければ大暴風の兆し」「ナシの花つき多くよく開く年は暴風多し」「ナスの花よく咲く年は大風、大雨」「カボチャの花多きは大風あり」などといわれます。
 植物の花が多く付くか、少なく付くかには気象の影響するところが大きいのです。天気のよい日が多い年には、日照を受ける時間が長く、炭酸同化作用が盛んに行なわれて、植物体内の窒素に対する炭水化物の量が多くなり、これが花の多く付く原因となります。また強い風がしばしば吹くような年には植物の栄養体が風でいためつけられ、窒素に対する炭水化物の比が大きくなり、こうした時にも花が多く付くこととなります。いいかえれば、天気がよく、大風がよく吹くような年には花が多くなる傾向があり、花が多いような年には大風を警戒したほうがよいということになるわけです。 

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雲が沖から静かに上ればよい天気

このことわざは北陸地方でよくいわれていますが、本州の日本海沿岸の多くの地でも適用できます。これらの地方で雲が沖から静かに上る原因には2つあります。いずれも夏季に見られることですが、夏季に天気が非常によい日には海陸風が発達します。沖へ流れ出た陸風は上昇し冷却して雲を形成し、この雲は海風に乗って陸の方へ流れて来ます。今一つの場合は、低気圧の中心が通った後では北寄りの風が吹き、この風と南の方から流れ込む暖気とが遭遇して雲が形成され、この雲が沖の方から陸の方へ移動する場合です。前の場合は、発達した太平洋高気圧に日本がおおわれた時ですから、この高気圧は持続性があり、翌日も晴天となることが多いのです。後の場合は、低気圧や台風が続いて通ることはあまりないので、低気圧が通った後には晴れあがり、よい天気となるわけです。このことわざがとくによく適用できるのは7・8月の太平洋高気圧の勢力の強い季節です。 

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六歳に一饑、十二歳に一荒

昔から6年に2回の割合で饑餓(きが)があり、3年に1回の割合で凶作があるという意味のことがいわれています。日本の凶作の主な原因は凶冷と干ばつだが、干ばつは灌漑(かんがい)施設の充実によりしだいにその影響を受けないようになってきました。したがって警戒を要するのは凶冷です。明治以来の大凶冷年をあげてみると、明治時代には2年、7年、22年、29年、30年、35年、38年、大正時代は大正2年だけで、昭和に入ってからは、6年、9年、10年、16年、20年、28年、29年、39年、52年、55年。88年間に凶冷が18回発生しているので平均すれば約5年に1回の割合で凶作が発生していることになります。そこで六歳一饑といったのでしょう。
 しかし、昭和9年、10年と引続いて凶作となり、また大正3年から昭和5年までの18年間は、凶作らしい凶作は見られませんでした。明治以来の豊凶について見ると六歳に一饑、十二歳に一荒とはいえそうもありません。

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朝曇りは日照りのもと

このことわざは晩春から夏にかけて海岸に近い地方でよくいわれ、山岳地帯でもこうしたことのいえる地方があります。夜間は海より陸が冷えるので、陸から海に向かっていわゆる陸風が吹きます。そしてこの陸風の上層では海の方から湿気を持った暖かい風が吹き込むので、この風が陸上の冷たい空気と接触して、ここに雲が発生します。朝方に陸上の空気が最も冷えるので、このためにも雲が多く発生します。
 しかしこの雲は日中には陸上の気温が日射であたたまり、消えてしまいます。それで夏に朝雲がよく見られるような時には太平洋の高気圧におおわれ天気のよい日が続く時で、日照りとなることがよくあります。また盆地でも天気がよいほど夜間放射による冷え込みがひどくなり、冷気が山風となって流れ降り、厚い霧が発生し朝方に曇ったように見えることがあります。こうした時にもよい天気が続きます。いずれにしてもこうした朝曇が何日も続くような時には日照りを警戒したほうがよいでしょう。 

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空に雲一つない夜ならば明日は晴天

空に雲一つない夜というのはどのような時に見られるかというと、冬には大陸の高気圧が発達してこの高気圧に日本がおおわれる時であり、夏には太平洋の高気圧が鯨のしっぽ型に発達して日本の方へ張り出し、この高気圧の勢力下に日本がすっかりおおわれる時で、こうした気圧配置の時には快晴の日が2、3日続くことがよくあり、翌日は快晴となります。また春や秋には低気圧と移動性高気圧とが交互に日本付近を通ることがよくあり、この場合には低気圧が通る時には雨が降り、移動性高気圧が通る時には晴れます。したがって、移動性高気圧におおわれると快晴となり空に雲一つなく風の静かな夜となり翌日は晴天となりますが、こうした日の早朝は冷え込みがひどく晩霜害や早霜害をよく受けることとなります。夏にも空に雲1つない夜の日には、太平洋高気圧におおわれ翌日晴天となることが多いのですが、夏のこうした快晴の日には夕方に雷雨に見舞われることがよくあります。

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北風が南に変わると雨、南風が北に変わると晴

大陸の高気圧が発達し、その勢力圏内に入ると北寄りの風が吹き天気がよくなりますが、大陸の高気圧の勢力が弱くなり、太平洋の高気圧の勢力が強くなって南風が吹くようになると大陸の高気圧と太平洋の高気圧との境に前線が発達してこのために雨が降ります。こうした原因による雨は梅雨期によく見られ、この降雨は長続きします。また日本付近を通る低気圧の多くは西から東へと移動し、低気圧は時計の針と反対方向の大きな空気の渦巻きですから、北風が吹いて晴れている時にその風が南風に変るような場合には、低気圧が西ないし南の方から接近してきている時で、やがて雨が降り始めることが多いものです。低気圧が通り過ぎると、低気圧の後面では北風が吹くことになるので、南風が北風に変る時には低気圧の中心が通り過ぎた場合であり、晴れあがることが多いのでこうしたことわざがいわれるのでしょう。また梅雨前線が北上する時にも風向と雨との関係について同じようなことが認められます。

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夏の南風は晴れ

低気圧が近づいて来る時にはその前面で南寄りの風が吹きますから、南風が吹くとやがて低気圧が近づき雨が降ることが多いものです。ところが夏の天気は太平洋の小笠原高気圧の盛衰に支配されることが多いです。小笠原高気圧の勢力が弱い時には日本付近に低気圧が発生したり、西の方から低気圧が来たりして、天気がくずれて雨が降りやすいのですが、太平洋の高気圧の勢力が強く、その勢力範囲に日本が入ってしまうような時には、太平洋方面の気圧が高いので南寄りの風が吹き晴れます。同じ南風でも太平洋の高気圧にともなう南風は低気圧にともなう南風よりもおだやかで風向があまり変らない、いわゆる大南風です。こうした時には気温が上がり、暑さがきびしくなります。そしてこの太平洋の高気圧がさらに発達して朝鮮半島の方まで張り出して、いわゆる「鯨のしっぽ型」の気圧配置になると晴天の日が続き、干ばつが心配されるようになります。

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夏寒く冬暖かきは雨の兆し

低気圧が近づいてきて雨が降り始める前にはしだいに雲が濃くなります。そのため夏は強い日射しが雲でさえぎられて昼間は涼しく感じます。また冬は雲のために地面からの夜間放射がさまたげられて冷え込まないので暖かく感じます。したがって夏は涼しく、冬は暖かければ雨の兆しといえます。
 しかし夏に、涼しさよりも寒さをおぽえるような低温に襲われ、雨が降ることがあります。この場合にはオホ−ツク海の高気圧の勢力が異常に強い時で、この寒冷な高気圧が太平洋の暖かい高気圧と中部日本以北の地方で接触して雨が降るのです。こうした気圧配置の時には、寒さや雨が長く続くことがありますから豊作物の冷害に気をつけなければなりません。なお夏には台風が近づいて来る時に蒸し暑くなるから、暖かくなると雨の兆しといえる場合もあります。台風は北日本では寒気を追い払ううえにも役に立ちます。また冬には低気圧が近づいて来る時に、その前面で南寄りの風が強く吹くためにも暖かくなるのです。

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午前南風、午後北風なら明日は晴れ

低気圧が日本付近を通るさいに、通りかたによっては午前南風が吹き午後に北風となり翌日晴れることがよくあります。低気圧は時計の針と反対方向の渦巻ですから、その前面では南寄りの風が吹き、通り過ぎるとその後面では北寄りの風が吹き,北寄りの風が吹くことは低気圧が通り過ぎた証拠ですから、その翌日は天気もよくなり晴れることがよくあります。この場合、低気圧が近くを通る時には南寄りの風が吹き、やがて雨が降り、北風に変わると晴れあがることになります。しかし低気圧がある程度離れたところを通る時には、雨が降らないで午前は南風が吹き、午後は北風となることがあります。春や秋なら低気圧が通った後から移動性高気圧が移動して来て翌日晴れるし、また夏なら太平洋の高気圧が張り出して来てやはり翌日晴れることになります。
 なお、夏には地方により海陸風や山谷風が発達し、この風向の変化についても同じようなことがいえますが、この場合には日が沈んでから北風に変わります。