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空夢の部屋

2月の天気ことわざ

低気圧が東海上に抜け、北風が吹き雪が降る。

このページのことわざは、「天気予知ことわざ辞典」大後美保著
からの出典です。
著者および東京堂出版より掲載許可を得ています。

ギャラリー

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冬晴れた日の磯鳴りは西風強くなる兆し

冬の晴れた日に風が強くないのに海岸に近い地帯 で磯鳴りが聞えることがよくあります。これは台風が近づいて来る時によく聞かれる海鳴りとはちがって、風もなく、海面が波立っていないのに聞えてくるのです。風が無いのに磯鳴りが聞える時には、実は沖合ではかなり強い風が吹いている時で、その風のために海水に擾乱が起り、これが磯にまで伝わって来て磯が鳴ることになるのです。この場合には波長が長く、風波とちがって海面が波立って見えないでも、波が磯に当ると、いわゆる磯鳴りが聞えるのです。とくに太平洋沿岸地方、なかでも関東地方を中心とした地方では西風が強くなり始めると、陸地の近くよりも沖合の方が先に風が強くなるので、このために磯鳴りが聞かれるようになり、このような時にはやがて沿岸地帯でも強い風が吹き始めるようになることが多いのです。そしてこうした時には大陸高気圧におおわれる時であるから天気がよくなります。

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冬季、山谷に風なければ好天

 このことわざは鳥取県その他の主に山陰地方でいわれています。これらの地方の冬の天気は日本海を通る低気圧と、冬の季節風の強さに原因しています。すなわち、低気圧が通る時や冬の季節風が強い時に天気が悪くなり、雪の降ることがよくあります。大陸の高気圧が発達して季節風が強くなる時や、低気圧が近づいて来る時には、まず上層の風が強くなり、しだいに下層の風も強くなります。したがって山の風が弱いような時には、大陸の高気圧が発達したり、低気圧が近づくような時ではないからだいたい好天となると見てよいでしょう。また谷ではそこへ風が吹き込むと収敏するために、風が強くなり始めるとひらけたところよりも谷では先に風が強くなり始めます。したがって谷に風が見られない時にも大陸の高気圧が発達したり、低気圧が近づいて来て天気が悪くなる時ではないから好天となるとみてよいでしょう。なお、このことわざは日本海沿岸の多くの地方でいえるとみてよいでしょう。

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八方雲の中央晴は荒れる

 周囲の空がすっかり雲でおおわれているのに、頭の上の雲が切れてぽっかりと晴れているようなことがよくありますが、こうした時にはやがて荒れるから注意しなければいけないということが、千葉県その他の地方でいわれています。こうしたことは西高東低の気圧配置となる冬期に見られることが多いようです。冬には大陸の方から吹いてくる西風と、太平洋の方から吹いてくる南東風との接触面に前線が形成され、この前線の滑走面に沿って南東風が上昇して雲が発生します。とくに南の方から低気圧が近づいてくる時には、この前面では南東風が強くなり、前線が発達して空一面が雲でおおわれます。ところが低気圧に原因する南東風の強さにはむらがあり、前線が二重に形成されると前線の後面で下降気流が見られることがあります。下降すると気温が高くなり雲が消え、そのため局所的に晴れることになるわけです。こうした時にはやがて低気圧が到来して荒れることが多いので、風雨に警戒しなければならないのです。

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火事の後には雨が降る

このことわざについては2つの面から解釈することができます。火事は日本が高気圧におおわれて、晴天が続き、湿度が下がり乾燥した時に起りやすいものです。湿度が火災と密接な関係にあることは、火災警報の発令の基準に実効湿度が用いられていることからもわかるでしょう。日本が高気圧におおわれよい天気が続き、乾燥した後にはふつうは低気圧が移動して来て雨が降ることが多いので、火事のあとに雨が降るということになります。
もう一つの場合は、火災とくに大火の場合には、それが原因となってあとで雨が降ることが多いことです。これは火災により局地的にあたためられて、そこに強い上昇気流が発生し、このために雨が降ったり、雷が発生したりすることがよくあるからです。たとえば関東大震災による東京の大火や、広島に原子爆弾が落下された時の大火のさいにはいずれも雨が降っています。

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朝の川もや白きは晴れ

川の水面近くの気温の日変化を見ると、朝方の日の出の頃の気温が最も低くなります。一方、川の水温について見ると、空気に比べて水の方が熱容量が大きいために、夜間にもそれほど冷えないから、早朝の頃には気温よりも川の水の温度の方が高く、このため川の水の水蒸気量がが多くなり、これが白いもやとして見えることになります。そして天気の良い日ほど朝の冷え込みはひどく、気温と河川水温との温度差が大きくなるから、それだけ濃いもやが見られることになります。そして、夜が快晴で朝方の冷え込みがひどい日ほど濃い川もやが認められます。春に発達した移動性高気圧におおわれ、風がなく、夜間しんしんと冷える日の朝などとくに川もやが白く認められ、こうした日には、少なくともその日一杯はだいたい晴れるとみて良いでしょう。尚、こうした日には夜間の冷え込みがひどい時でもあるので霜害にも気をつける必要があります。

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冬の南が雪くれた

冬にはふつうは西高東低の気圧配置となり北西の風が吹くことが多いのですが、時に南風が吹くこともあります。その一つの場合は大陸高気圧が黄海から太平洋の方へ張り出し、夏のように日本付近が南高北低型の気圧配置となって南寄りの風が吹く場合です。この型は暖冬の年によく現われる型で、南風が吹いたからといって雪が降るようなことはありません。これに対して西の方から低気圧が近づいてくると、その前面では南風が吹き、その低気圧にともなう前線が通る時に気温が0度以下の場合に雪が降り、気温が1〜4度の時には雨か雪となります。こうした低気圧にともなう雪は、時に意外な大雪となることもあるので注意しなければなりません。春に近づくにしたがって日本列島に沿って東進する低気圧が現われやすくなるので、2月中旬以後になると、南が雪くれる場合が多くなります。なおこうしたことは、関東、東海地方でよくいえます。

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三寒四温

冬の天気変化について三寒四温ということがいわれます。3日間寒い日もあれば4日間暖かい日があり、7日周期で天気が変化するのです。これは冬に大陸に発達するシベリア高気圧の勢力がおおよそ7日周期で変化することによるものです。シベリア高気圧の勢力が強い時にはそれだけ寒冷な空気が流れ出てくるので寒さが厳しくなります。また勢力が弱くなると、冷気の流れ出る量が少なくなるので寒さがゆるみ暖かくなるのです。三寒四温は、シベリア高気圧の影響を受けやすい中国大陸北部や朝鮮では非常に顕著ですが、日本ではそれほど顕著ではありません。日本では冬の三寒四温よりも春に入ってからの4日周期のほうが顕著です。まず、移動性高気圧が通過すると気温が昇り、次の日には低気圧が通り雨となり、3日目は天気があがり、強い西風が吹き気温が下がり、4日目には移動性高気圧が近づき風が弱くなりしだいに気温が上がる、というぐあいです。7日周期から4日周期に移り変る時期ははっきりしませんが、だいたい3月上旬のころとみてよいでしょう。

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北風つのれば山間部は雪となる

このことわざは冬に日本中部地方の山岳地帯でよくいわれているようです。日本付近は夏には太平洋方面の気圧が高くなるので南風が吹きますが、冬には大陸方面の気圧が高くなるので北西の風がよく吹きます。この場合、シベリア方面の気温の低い空気が日本海を越えて日本の方へ寒い北西風となって流れて来ることとなります。元来大陸の空気は乾燥しているのですが、日本海の上を吹き渡るさいに、ここで水蒸気が補給されるので、この湿った風が日本の山脈の上を吹き越えることになるわけです。冬には海上よりも陸の上の方が冷えています。とくに高いところほどよく冷えています。したがって北風が強くなる時にはこうした大陸から日本海を吹き越えて来た空気が山を越える量が多くなります。そのさい、その空気に含まれている水蒸気が冷え、雪となって山間部に降ることとなります。とくに日本海に面した北陸地方の山間部では、冬に北風がつのる際に大雪となることがよくありますから、雪害に充分注意しなけれぱならないのです。

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帯状すじ雲が出たら雨

空に北東から南西の方向に帯状のすじ雲が見られることがあります。すじ雲は絹雲の一種で、6000メートル以上の高いところに発生する上層雲です。すじ雲は一本だけでなく何本も見られることもありますが、いずれにしてもこうした雲が出ると雨が降るといわれています。 低気圧は時計の針と反対方向の渦巻ですから、その前面では暖かい南東の風が吹きます。この風と、冷たい北西風との間に前線が出来てすじ雲が発生するのです。したがって、すじ雲が見られるような時には低気圧が近づいている時ですからやがて雨になるといえます。しかし同じすじ雲でも、その流れの方向でちがうのです。北西から南東に向かって伸びているすじ雲の時には、翌日雨となる確率が80%くらいでよく当ります。しかし、雲が反対に南西から北東に流れている時には、逆に天気が悪くならず、その確率はやはり80%くらいでよく晴れます。したがってすじ雲の流れの方向に注意することが肝要です。

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梅の花、上向きに咲く年は晩霜あり

梅の花は太平洋沿岸の気候の暖かい南の地方では一月中旬までに咲き始めます。関東以西の平野地帯でも二月末までに咲き始めます。これらの地方では二月の天候は年によって違い、寒く、雪のよく降る年もあれば、暖かく雪とならずに雨となる年もあります。梅の花の咲くころ日照りが続き、雪や雨があまり降らないような年には梅の花は例年より早く咲き、また上向きに咲く傾向があります。いいかえれば、こうした年には二月のシベリアの高気圧の勢力がいつもの年より著しく強い年なのです。そうした年には三月以後に日本の方へ発達した移動性高気圧が数多く流れてくる可能性があります。そうして発達した移動性高気圧が通る時には快晴となり、夜間著しく冷えて霜害を受けることがよくあるのです。こうしたことから、梅の花が上向きに咲く年は晩霜ありと言ってもよいのかもしれません。

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高い山が見えれば晴れ

遠くの高い山が見えるような時には、朝方ならぱその日一日、また夕方ならば少なくとも翌日は、天気がよいことが多いものです。このような時には雲も少なく、かなり高いところまで、またかなり広い範囲にわたって空気が澄んでいる時です。こうした状態の時には近くに低気圧がなく、広い地域が高気圧におおわれている時であり晴天の兆しといってよいでしょう。しかしこの関係は、季節や地方により多少違ってきます。春や秋には移動性高気圧と低気圧とが交互に通ることが多いので、低気圧が通った後で、しだいに雲が薄くなり、遠くの山がはっきり見えるようになります。これは、移動性高気圧の勢力圏内に入ったのですから、その後二日くらいは晴れるとみてよいでしょう。この種のことわざは地方地方で、ある特定の山についていわれていることが多いようです。たとえば関東地方では昔から「朝富士に夕筑波」といわれ、埼玉県では「秩父の山が見えれば晴」、新潟県では「弥彦(やひこ)が見えるのは晴の兆し」などといわれています。

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節分に雪が降れば48日荒れる

大寒から15日目が節分で、この日で寒が明けて春となり、陰暦では年があらたまって新年となります。したがって節分は年の変わる節に当る日なので、この日の天候からその年の天候を占うことわざがいわれています。たとえば、「節分に雪が降れば48日荒れる」です。大陸高気圧が発達して西高東低の気圧配置となって雪が降る時には、地方によってはその後48時間くらいは荒れ気味となることもありますが、節分の雪が48日も先まで影響するようなことはありません。また「節分の雨はその年雨の多きしるし」ともいわれますが、節分という特定の日の天気がずっと先の天候に関係するようなことは無いと思われます。また節分に豆の焼けかたから天候を占うことも行なわれています。12個の豆を炉の灰の上にならべ、それぞれの豆を1月から12月とし、焼けかたの白っぽい豆に当たる年は晴天、黒く焼けた豆の月は雨天、煙を吹き出す豆の月は大風、すぐ焼けてしまう豆の月は干天と予想するわけです。

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北風は天気が続き、南風は雨の兆し

「北風は晴れ、南風は雨」ともいいます。冬ならば関東以西の太平洋沿岸地方、春、秋には日本の多くの地方についてこうしたことがいえます。北風が吹くような時には、シベリア高気圧が発達し、その勢力圏内に日本が入る時ですから北風が吹き晴天となります。シベリア高気圧の勢力は低気圧のように変化しやすくないので、天気は長続きすることになります。もっとも春や秋に移動性高気圧が通る時には、北風が吹いても晴天が2、3日しか続きません。一方南風は低気圧が近づいてくる時に吹くことが多いものです。低気圧は時計の針と反対方向の大きな渦ですから、その前面では南寄りの風が吹き、南風が吹けばやがて低気圧が到来して雨が降ることとなります。風向は山谷風、海陸風、その他の影響を受けて局地的に変わりますから、地上風ではかならずしもこのことわざのようにならないところもあります。したがって風向は高所の煙や雲の流れから観察したもののほうがよいでしょう。

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西風日いっぱい

冬には強い西風が吹くことがよくあります。この風は大陸の高気圧が発達し、西高東低の気圧配置となる時に吹きます。天気図を見ると、日本列島を南北に横切る等圧線が何本も並んでいて、この等圧線が日本列島のうちに13本以上あるような時にはかなり強い風が吹きます。この場合、大陸の高気圧から寒気が押し出されて強い風が吹く押し風の場合と、西高東低の気圧傾度がややゆるやかになった時に、千島方面で低気圧が発達してやはり西高東低の気圧配置となって強い西風が吹く、引き風の場合とがあります。こうした西風が吹くときには、日本海沿岸地方では雪が降ることが多いのですが、太平洋沿岸地方では快晴となり、強い「からっ風」が日中は吹き続きます。しかし日が暮れると天気がよいため夜間放射量は多くなります。この場合、地面近くの空気が冷えて重くなり、よどんで上層の風は昼間と同様に強く吹いていても下層の風は弱くなります。それで冬にこれらの地方では『西風は日いっぱい」というわけです。

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雪の降らない年は水不足になる

冬に雪が少ない年には夏に雨が少なく、冬に雪が多い年には夏に雨が多いという意味のことわざがいろいろ言われています。たとえば、「雪少なければ干害あり」「雪の降らない年は水不屋になる」「雪の少ない時は田に水が少次い」「冬期雪多きはその年干害の心配なし」などです。
 実際にはどうかといいますと、昭和24年の冬は暖冬で雪が少たかったのですが、夏は干ばつとなりませんでした。逆に昭和8年の冬は雪が多かったのですが、夏の雨は少なく、当たらない年もあるようです。しかし、多雪年についてみると、昭和32年には梅雨期に「昭和における梅雨の大災害」と呼ばれるほどの雨が降り、また昭和36年にも梅雨前線豪雨により室戸台風の雨量の2倍以上の600億トンを越える雨が降りました。このほか多雪年であった昭和11年、昭和20年、昭和38年にも夏に大雨が降っています。冬にシベリア高気圧が発達する年には夏には小笠原高気圧が発達する傾向があり、ここにあげたことわざは関東地方ではよくあてはまるようです。

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カメムシが大量発生したら冬が厳しい

残念ながら、この言い伝えについては、我々が見つけたどの資料にも、同様のものが見つかりませんでした。
 カメムシは敦賀ではヘクソムシと呼んでいます。若狭ではオガムシとかヘッカンとも呼ばれているようです。さわると大変臭いにおいを噴出する虫ですから、どちらかと言えば悪い印象で御存知の方も多いのではないでしょうか。生物学的には、半翅目陸生異翅亜目に属する昆虫の総称です。学研の生物図鑑「昆虫V」によれば、東北や信越地方の人家では冬季に越冬のため、 この仲間が家屋に侵入し、その悪臭に悩まされる事があるそうです。このことから考えられることは、大量発生すると言うよりは、厳冬の折は、家屋への侵入数が多いと考えれば、説明は付きますが、本当のところは不明です。

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雪少なければ干害あり

雪少なければ干害あり」または「冬季雪多きはその年干害の心配なし」といったことがよく言われています。冬に雪が少ない年というのは、言い換えれば暖冬の年でね冬に大陸の高気圧があまり発達せず日本に流れてくる寒気が少ない年です。そして、こうした年の夏には太平洋高気圧が発達して、この高気圧におおわれるために晴天が続き干ばつ気味となります。特に積雪地方では、冬の雪が夏に解けて水源となりますから、冬の雪が少なく夏に干ばつだと干害を受けやすくなります。
 ところがこのことわざとは反対に「冬寒気はげしき年は干ばつあり」「冬寒ければ夏あつい」ともいわれます。これは矛盾するようですが決してまちがっていないようです。昭和53年ころは、冬暖かく雪が少なければ夏暑く干ばつ気味となる周期に入っているようです。これは、地球を取り巻く大気の循環が周期的に変化するからです。

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節分に雪が降れば48日荒れる

大寒から15日目が節分で、この日で寒が明けて春となり、陰暦では年があらたまって新年となります。したがって節分は年の変わる節に当る日であるために、この日の天候からその年の天候を占うことわざがいわれています。たとえば、「節分に雪が降れば48日荒れる」といいます。大陸高気圧が発達して西高東低の気圧配置となって雪が降る時には、地方によってはその後48時間くらいは荒れ気味となることもあります。しかし、節分の雪が48日も先まで影響するようなことはありません。また「節分の雨はその年雨の多きしるし」ともいわれますが、節分という特定の日の天気がずっと先の天候に関係するようなことはありません。また節分に豆の焼けかたから天候を占うこともよく行なわれているようです。12個の豆を炉の灰の上にならべ、それぞれの豆を1月から12月とし、焼けかたの白っぽい豆に当る月は晴天、黒く焼けた豆の月は雨天、煙を吹き出す豆の月は大風、すぐ焼けてしまう豆の月は干天と予想するようです。

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立春に雪が降れば30日雪が続く

雪になるか雨になるかは気温でちがいます。低気圧が近づぎ天気がくずれる時に地上の気温が0度以下の時には必ず雪となり、6度以上なら必ず雨となります。
 したがってある程度以上、寒さのきびしい季節に雪が降りやすいものです。日本で寒さの最もきびしい季節は一月中旬ですから、立春のころになると寒さがかなりゆるみ、昼間の最高気温が平年で0度以下になる地方は、主に北海道と本州の山岳地帯です。したがってこれらの地方以外の地方では二月になるとふつうは一月のころほど雪が降らなくなります。それにもかかわらず立春に本州の関東以西の太平洋沿岸地方で雪が降るような年には、大陸の高気圧の勢力が例年よりもかなり強い年ですから、その後も雪が降りやすいということがいえます。しかし立春一日だけ雪が降ったからといって、その後30日も雪が降り続くようなことはありません。立春に雪が降るような年には、その後2月いっばいは、いくらか寒さがきびしい年となると解してよいでしょう。

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寒九の雨

寒中の9日目に雨が降るような年には天候が順調で、その年の農作物は豊作になると昔からいわれ、「寒中、9、19、29に雨あらば豊作」「寒の入り、9日目に雨降らざる年は凶作」などともいいます。こうしたことわざは茨城県から西の太平洋沿岸地方に適用できます。冬になると西高東低.または北高南低の気圧配置となり北西の強い寒風が吹きますが、この風は日本海上を吹き渡るさいに水蒸気が供給され、日本海沿岸に吹きあがって、そこに水蒸気を雪や雨として落とします。一方太平洋沿岸地方には乾燥した空気が流れ込み雨が降らないこととなります。こうした冬の西高東低または北高南低の気圧配置は10日近くも続くことが多いので、太平洋沿岸地方では9日目に雨が降るような年が順調な年であるといえます。しかし、冬の天候が順調な年に夏の天候も順調であるとはかぎりません。よってこうした年の夏作物も必ずしも豊作となるとはいえないでしょう。

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炭火のよくおこるは晴れ

木炭が燃料として多くの家建で使われていた時代には炭火のおこり方から天気を予知することわざがよくいわれていました。木炭は元来吸湿性が高いために、空気の湿度が高くなると、湿気を吸収するために火が付きにくくなります。
 一方冬に天気がよい日には、大陸の高気圧におおわれ、とくに太平洋沿岸地方は北西風が中央山脈を吹き越えるさいにその中に含まれている水分が雪や雨となって降ります。その結果乾燥した風、すなわちフェーン風となるため、木炭が乾燥して炭火がおこりやすくなるわけです。すなわち冬には炭火がよくおこるような日は西高東低の気圧配置であり、太平洋沿岸地方は晴れることとなります。それに対し、日本海沿岸地方や中部山岳地帯などは逆に天気が悪くなり、雪が降ったりします。西高東低の気圧配置は数日くらいも続くことがよくありますから、炭火がよくおこるような時には当日はもとより2、3日晴天が続くと見てもよいでしょう。

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雲中に大音響あるときは大雪の兆し

空がどんより曇り、寒い日にとつぜん雲の中からゴーとかドンドンというような底力のある大きな音が聞え、何事が起ったかと驚かされることがあります。冬にこうした大音響が聞えると雪が降ることが多いので、これを雪起こしといい、この大音響は雷鳴ですので雪の雷ともいいます。雪起しが聞えると雪が降り始めることについてはかなり古くから認められていて、年浪草には「北地、雪のまさにおこらんとする時、必ず雪これに応ずることあり」とあります。雪起しはシベリア高気圧が日本の方へ張り出してきて、季節風の吹ぎ出しによる寒冷前線が通過するさいに、この寒冷前線に沿って強い上昇気流が起り、そこに雷が発生するためです。
 北陸地方などの雪国では、雪起しがよく聞かれるような時には、大雪となることがよくありますが、関東地方など太平洋沿岸地方では雪起しが聞かれてもその後で雪の降らないこともあります。

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夜、北の空が光ると雨

夜、空に見られる光りものはだいたい雷光であると見てよいでしょう。昼間は目立たないような強い雷光でも、夜は暗いのでよく見分けることができ、雷光で雷が発生したことを知ることができる。昼の雷は地面が.日射であたためられて上昇気流が起ることによる熱雷で、日射の強い夏期に多く発生しますが、夜の雷は、前線に沿って起る強い上昇気流によって起る前線雷や、発達した低気圧の渦の中で起る上昇気流に起因する渦雷による場合が多いのです。
 低気圧の中心からは南東に伸びた温暖前線があり、寒気の上に暖気が吹き昇っています。このためにいわゆる前線雷が発生します。こうした雷は昼間も発生しますが.昼間は明るいので目だたないのですが夜間は目立つので、北の空が光るとやがて雨が降るというわけです。また日本海沿岸地方では.冬に北西の季節風が強くなると、日本海を渡って来てあたためられた北西の季節風と陸上の気団との間の前線が発達して雷が発生し、雨や雪が降ることがあります。

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すじ雲東へ進めば晴天続く

すじ雲とは高さ8000メートル以上の高いところに発生する絹雲のことで、そのうちでも青空に毛がもつれてなびいているように見える雲をすじ雲といいます。この雲のなびく方向は上層の空気の流れを示すこととなります。この雲が西から東へ流れている時には大陸の高気圧の勢力が強く、西高東低の気圧配置となり、西風が吹いている時です。冬にこうした気圧配置になると、日本列島はシペリア大陸の高気圧の勢力下に包含されるために、南西、または南の方から低気圧が日本列島に近づくことができず、日本本島はだいたい高気圧におおわれ晴天が続くことになります。
 しかし、こうした気圧配置の時には日本海側、なかでも山寄りの地方では雪が降るので晴天が続くとはいえません。最も晴天が続くのは東海地方から関東地方にかけてで、晴天が続いて干害や飛土の害を受けることがあります。またこうした気圧配置の時にはシベリアから寒気の流入する量が多いので例年より気温が低くなりがちです。

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月に近くに星あれば海荒れる

月の近くにある星は、月の光のために薄い雲があっても見えにくくなります。したがって月の近くにある星がはっきり認められるような時は快晴で、しかも空気が乾燥して澄んでいる時です。こうした快晴は、大陸の方から流れて来た移動性高気圧におおわれる時や、大陸の高気圧の勢力が強く、その勢力下に日本が包含される時に見られます。移動性高気圧におおわれて快晴となることは春と秋によく見られ、この場合には強い風が吹かないから、たとえ月の近くに星が見えても海は荒れません。
 これに対し、冬に大陸の高気圧の勢力が著しく強い時には、日本海側は天気が悪くなりますが、太平洋側は快晴となり、月の近くの星が見られ、しかも強い偏西風が吹くために海が荒れます。それで冬に月の近く星が見える時には漁船まで充分警戒する必要があるのです。以上のような関係からこのことわざは、主に冬期に太平洋沿岸地方で通用するものと見てよいでしょう。