本文へスキップ

観天望気いろいろは「観天望気」について紹介するページです。

雲と天気 KANTENBOUKI V

雲と天気

天気の変化が、まず我々の目に見える現象として現れるのが雲と言って良いで しょう。雲の形や動きを観察すると、その後の天気を判断することができます。 その場所で短時間の天気の予測をするには、一番正確な方法かもしれません。

巻雲(すじ雲)

雲のうちもっとも高いところ(地上から12km以上)に浮かび、夜明けと同 時に、他の雲に先がけて紅色に染まります。鳥の羽のような、刷毛を引いたよう な薄い雲です。
 低気圧や温暖前線の前に現れるときはまっすぐな線状のものが多く、「雨知 らす」と言われて雨の兆しとなります。曲がったり、乱れたりしているものは「 晴れ知らす」といわれ、明日も好天であることを告げています。

巻積雲(いわし雲、泡雲、うろこ雲)

「いわし雲が現れると雨」「うろこ雲が出た翌日は雨または風」
青空に純白な雲がちょうどイワシの鱗のように列ぶ雲をいわし雲といいます。温帯低気圧の前方500〜800Kmくらいの高さ5000〜8000mの高いところにこの雲が現れます。そのまま低気圧が進むと1〜2日後に低気圧がやってきます。低気圧の進行方向によって雨にならないこともあります。

巻層雲(うす雲)

薄くした牛乳を空一面に流したような、薄い白色のベール状の雲で、小さな氷 の粒からできています。一般にはうす雲と言われていて、写真にはっきり示すことは困難です。しかし、この雲が太陽や月をおおうと「ひがさ」「つきがさ」が現れます。天気が悪化する時に見られると言われますが、その的中率はあまり高くありません。

高積雲(ひつじ雲)

うろこ雲の高さが低くなり、一つひとつの雲塊も大きく、白色か淡灰色をし て雲塊に陰影があります。規則正しく並ぶことが多いようです。巻積雲に次ぐ美しさがあり、太陽や月にかかると、色彩も豊かです。その美しさにより昔から めでたい雲とされています。西から東へ流れると天気はくずれ、東から西へ流れると天気は良くなると言う説もあります。塊が小さくなっていくときは好転する兆しで、逆に大きくなっていくときは、天気は下り坂です。

高層雲(おぼろ雲)

巻層雲(うすぐも)の高度が低くなり、雲の厚さも増して、全天にうす墨を 流したような曇りの雲です。この雲を通して太陽や月がおぼろに見えることから 「おぼろ雲」と言われています。これが全天をおおうと、日中でも陰ができなく なって、雨が降ることもあります。花見頃によく現れる「どんより曇り」「おぼ ろ月夜」は比較的薄いこの雲がかかったときです。

層積雲(うね雲)

大きな雲の塊が畑のうねのように行列したり、波状に浮かぶことがあります 。積雲(わた雲)と層雲(きり雲)の合いの子のような雲で、浮かんでいる高さ は最も低く、地面から2kmくらいまでです。「曇り雲」とも言われ、雨や雪が降ることがあります。

積雲(わた雲)

雲の底がほとんど水平で、上方に発達し、雲の頭はもくもくしています。その 為に「むくむく雲」とも言われています。下から見ると白色で雲底に陰があります。これが発達してくると、雲の輪郭がさらにはっきりして、太陽に当たったところは銀白色、陰のところは黒さが増して、雄々しい雲になります。雷雲の卵で す。

層雲(きり雲)

比較的一様な雲の層で、浮かんでいる高さはきわめて低く、山や湖などを埋め 尽くしているあつい霧の層がこの雲です。その為、「きり雲」とも言われ、時には雲の切れ間から青空が見えることもあります。他の雲と違って、夜間の放射冷 却で発生することが多く、日の出とともに次第に薄れ、消えていくことが多いよ うです。

乱層雲(あま雲)

雲の中では一番厚く、太陽は完全に隠れ、非常に低い高度までたれこめてきます。低気圧や前線の付近に現れ、雨や雪を降らせます。ほとんどの場合、この 雲が出る前に高層雲(おぼろ雲)が現れます。

積乱雲(にゅうどう雲)

積雲(わたぐも)が発達したものが雄大積雲です。雲の頭部が丸みを帯びている内は、どんなに大きく高くても積雲の一種ですが、雲の頂が巻雲(すじぐも)の浮かぶ高さまで達して、雲頭が羽毛状に横に広がり、アサガオ状やカナト コ状になると積乱雲となります。雲底には雨足が見られ、激しい雷光・雷鳴・落雷をもたらし、そのうち大粒の雨や雹(ひょう)、突風を伴う場合がよくあります。

飛行機雲

誰もが空を指さして一度は見たことのあるこの雲は、「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」とか「天気が悪くなる前兆」などということわざを持つ、誰にでも すぐに分かる雲です。この雲は、飛行機から排出される燃焼ガスや水蒸気から発生したり、飛行の際に生じる空気の急激な膨張や渦などによって発生すると言わ れています。実際に、すぐに消えることもあれば、さらに太って、流されながらいつまでも消えないでいることもあります。しかし、ジェット機が激しく飛び交う近年では、季節には関係なく、いつどこででも見ることができ、天気の変化には関係がないとされています。